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平均点が20点上がる漢字指導の「詰め」

TOSSシグナス  田上 大輔

 

 あかねこ漢字スキルには、指導の「詰め」が欠かせません。学級平均点が20点上がる実践を紹介します。2001年度3年生での実践です。

 
 ここでは、1学期と2学期でどこをどう変えたのかを比較しながら検討する。 


指書きの確認(右側のページ)

1学期

2学期

 「お手本を見ないで指書きができるようになったら写し書きをしなさい。」と指書きができたかどうかの確認が曖昧だった。  「指書きがバッチリOKだなと思ったら、天井に向かって書いてごらん。」とどのように指書きができたかどうかの確認をすればいいかをはっきりさせた。
 天井に向かって書くということは「空書き」である。指書きの確認をするのだから、「目をつぶって、指書きしてごらん。」と言った方がいいのではないか。

 

練習後の「空書き」での確認

1学期

2学期

 「先生のほうに向かって空書きします。」と教師に向かっての空書きしかしていなかった。  教師に向かっての空書きだけではなく、子どもを教室の左側と右側に分け、体だけ向き合わせる。半分の子が空書きして、半分の子がチェックするようにした。
 自分が覚えていない事が、教師だけではなく他の子にも分かるので子ども達は必死で覚えた。今後は、隣同士での確認も入れていきたい。

 

左側のページの練習(読み仮名の確認)

1学期

2学期

 「まずは読みのテストです。時間は1分間、はじめ。」と、いきなり書かせ丸付けしていた。  「先生の後について読みなさい。」、「みんなだけで読みなさい。」、「10秒以内で読みなさい。」、「6秒以内で読みなさい。」などと何度か読ませてから、読み仮名を書かせた。
 漢字をの「書き」を覚える前提としてその字を読めなければならないという視点が私には欠けていた。変化のある繰り返しで、すらすらと学習する漢字を読めるようにしたい。右側のページに関しても同様に読みの練習をしている。

 

左側のページの練習(練習していく順番)

1学期

2学期

 右側のページの練習と同じように、指書き、なぞり書き、写し書きの順番で縦に縦に、1つの字ずつ練習していった。  指書きを1〜10まで、なぞり書きを1〜10まで、写し書きを1〜10までというように、横に横に1段ずつ練習させた。
 こう変えたのは、練習時間が足りなくなっても、1〜10までの漢字を1人最低1回は練習できるようにするため。

 

テスト前の「自分でテスト」

1学期

2学期

 左側のページの練習が終わったら、「明日はテストです。お家で練習してきなさい。」といって、子どもに任せていた。  朝自習の時間を使って、ノートに「自分でテスト」をさせた。私が教室に行ってから子どもの自分テストと間違った字を練習したものをチェックした。しかし、クラスで2名それもできない子がいた。

2学期再修正

 朝自習の時間を使って、私が作った問題が書いてあるプリントをさせた。ノートに自分でやることができなかった子も取り組むようになった。
 テスト同様の形式で、これまでできなかった2名の子も少しずつ点数があがってきた。
 2学期最初の修正で失敗したのは、「自分でテスト」のやり方を説明しただけで、実際に授業中にやらせてみなかったせいである。
 ノートに「自分でテスト」も「間違えた字の練習」もやらせたほうが、チェックもしやすいしどこでもできる良い点がある。
 どちらがいいのかもう一度検討したい。


【結果】

 このように指導方法を修正した結果、1学期の学級平均点「73.1点」だったのに対して、2学期の学級平均点「90.1点」になった。特に、2学期の7回目のテストからは更に修正し、7〜15回目までのテストの平均点は「93.7点」にまで上がった(表1)。

「2学期の漢字スキルテスト学級平均点」(表1)

回数

10

11

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13

14

15

平均点 90.3 84.3 91.0 93.7 84.4 77.9 93.5 94.2 92.0 94.5 97.2 87.0 93.7 95.8 95.8 90.1

 個人的に見ても、平均点がぐーんと伸びた子がいる。

 A君…52.7→92.1 +39.4点   B君…40.8→89.3 +48.5
Cさん…50.8→93.7 +42.9点  

 D君は、再修正した7回目のテスト以降、急激に点数が良くなった(表2)。

(表2)
回数

10

11

12

13

14

15

平均
点数  70  40  90  40  50  45 100 100 100 100  90 100 100  95 100 81.3

 この結果から見ても、
1.練習のとき、指書き、空書き、読み仮名など各部分でしっかり覚えているかどうかの確認をすること
2.テストの前には「自分テスト」をして、そのテストと練習した漢字をチェックしてあげること
という指導の詰めが大切だと分かった。

 

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2002.6.2

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