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【同時進行の向山型国語1年(教育出版)】
「おおきなかぶ」
TOSSシグナス/札幌向山型国語研究会 田上大輔
作成日:2009年7月14日
更新日:2009年9月 7日
○授業記録 第1時へ 音読練習1 第2時へ 音読練習2 第3時へ 登場人物の確認 第4時へ 出てくる順番に番号をつける 第5時へ 「うんとこしょ、どっこいしょ」の読み方 第6時へ 「よんできました」 第7時へ ねずみが一番の力持ち? |
【授業記録】
第1時 音読練習1 7月14日(火) |
かんじスキルテストれんしゅう8番。
ことわざフラッシュカード。
「おおきなかぶ」に入る。(前の時間に、範読と丸10個を書くことは済ませていた)
まずは音読練習。
追い読み1回、教師と子どもの交代読み1セット、男女で交代読み1セット、隣同士で交代読み1セット、個人練習を行う。
教科書の持ち方や姿勢を重点的に指導する。
その後、テスト返却。
第2時 音読練習2 7月15日(水) |
かんじスキルテスト8番。
ことわざフラッシュカード。
「おおきなかぶ」は音読。
追い読みとたけのこ読み。
最後に、本文の視写。
第3時 登場人物の確認 7月15日(水) |
この日2回目の国語。
カタカナフラッシュカード。
「おおきなかぶ」は「間違い読み」から。
発問 このお話に出てくる人は誰ですか? |
登場人物の確認である。
「人間でなくても、人間のようにお話したり行動したりすれば出てくる人になります。」
と言い、「桃太郎」や「ドラえもん」を例に説明した。
順当に、おじいさん、おばあさん、まご、いぬ、ねこ、ねずみが出てくる。
問題は、「かぶ」だ。
かぶを登場人物に入れる子が6名、入れない子が14名。
それぞれ意見を言わせる。
かぶは、話もしないし、自ら動きもしないということで、入れないことを確認した。
第4時 出てくる順番に番号を付ける 7月16日(木) |
カタカナフラッシュカード。
ことわざカード。
聴写5問。(きしゃ、しょうがっこう、きゅうしょく、きょうりゅう、ちゃわん)
「おおきなかぶ」はたけのこ読みから。
昨日、ノートで登場人物を書いたページを開かせる。
発問 出てきた順番に番号をつけなさい。 |
確認する。
最後に、視写。
※事情があって、この後は2学期に持ち越しとなった。
第5時 「うんとこしょ、どっこいしょ」の読み方 8月19日(水) |
カタカナの練習「ア~ウ」。
ことわざカード。
「おおきなかぶ」は音読から。
その後、「うんとこしょ、どっこいしょ」の読み方を扱う。
かつての自分の実践の追試。
当時の学級通信を紹介する。
***「1組だよ全員集合!」No79より(2009年8月31日)*********
いきなり,「どんな風に読んだらいいですか?」などと聞くのは芸がない。
「先生が読んであげる!」 |
といい,読んで聞かせ,読み方が○か×か判断させた。
「うんとこしょ、どっこいしょ」 (超小さな声で) |
すぐに,「声が小さい!」「聞こえない」と言われる。
Y君は「綱引きのときはさ~」や「小さな声だと力が入らなくて抜けないしょ」などと鋭い意見を出す。
そこで,みんなの意見を参考にしてもう一度読んで聞かせた。
「うんとこしょ、どっこいしょ」 (声は大きく超ハイスピードで!) |
あきれた顔で意見が出される。
しかし,「,」で区切っていないという意見ばかりだったので,その点をつく読み方を聞かせてみた。
「うんとこしょ、どっこいしょ」 (点でしっかり区切るが超ハイスピード!) |
教室に私に対するツッコミが飛び交う。
「速いからダメ」「もっとゆっくり読むの」「でもゆっくりすぎはダメ」(私の性格をよみはじめている賢い子ども達である)
ようやく,「先生,上手に読めないので皆さんにお手本を見せてもらいますね。」と言い,練習時間を30秒ほどとった。
「みんなの前で読んでみたい人?」と聞くと,10名近く手が挙がる。
手を挙げた子を前に呼び,私が「かぶ役」になって,私を引っ張りながら台詞を言わせた。
1人やるごとに,見ている子にどんなところがよかったのかということや,他の人と違うところなどを聞いていった。
力強い声で読む子,両手でしっかり引っ張る子,顔にまで力を入れて読む子,「うん」「どっ」というところに力を入れる工夫をする子などいろいろである。
最初の読みに比べて格段に上達した。
第6時 「よんできました」 8月20日(木) |
カタカナ「エ~カ」の練習。
ことわざカード。
暗唱。
「おおきなかぶ」は音読から。
そして、、「おじいさんは、おばあさんをよんできました。」という1文の授業を行った。
まず、おじいさん一人では蕪が抜けず、次におばあさんと蕪を抜いたことを確認する。
そして、
指示 おじいさんがどのようにおばあさんを呼んだのか、みんなにやってもらいます。 みんながおじいさん役、先生がおばあさん役です。 |
と言い、私は教室の後ろへ行った。(蕪とおじいさんは教室の前)
やってみたい子を募ると、15人ほどが前に出てくる。
それぞれ
「おばあさん、来て!」「かぶが抜けないから手伝って。」
などとその場からおばあさんを呼んだ。
全員終えた後、
説明 みんな、とっても上手に言えましたね。すばらしいです!・・・でも、全員ハズレです。 |
と言う。
「え~!?」と不思議そうな子どもたち。再挑戦者を募ると、またたくさんの子が出てきた。
1回目と同じように子どもたちはおばあさんを呼ぶ。また全員ハズレ。
3回目の前に、「何と言うかは関係ありません。」とヒントを出してからやらせる。
「腰が痛いから来て!」などと面白い発言もあり、大いにほめるがでも全員ハズレ。
「国語のお勉強ですから、書いてあることをもとに考えるのです。」
と言い、黒板に「おじいさんは、おばあさんをよんできました。」と書く。
近くの子同士でどうすればいいか相談させた後、4回目の挑戦。残念ならがまたまた全員ハズレ。
何度ハズレてもたくさんの子が果敢に挑戦してくる。授業の本題からは外れるが、失敗を恐れず挑戦することの大切さを子どもたちに語った。
そして、
説明 みんながやっているのは、『おじいさんは、おばあさんをよびました』なんです。 教科書に書いているのは『よんできました』ですよ。 |
とヒントを出す。
いよいよ5回目。2人の子の動きに変化が生まれた。
HちゃんとK君である。
この2人は、教室の前でおばあさんを呼ぶのではなく、後ろまで来ておばあさんを呼んだのだ。
「何と・・・・・・・・・・、正解の人が2人いました!」
と言い、2人はどう違っていたのかと問うと、K君がその違いに気付き、発表してくれた。
まだ、違いに気付いていない子もいたので、別の具体的な例をいくつか示すことにした。
まず、Yちゃんに廊下に行ってもらい、K君に「Yちゃんを呼んできて」と頼むと、K君は廊下まで行ってYちゃんを呼んできた。
(手をつないで仲良く教室に入ってくる2人にみんなから温かい拍手が。1年生でしかあり得ないほほえましい光景だ!)
これが、「よんできました」だということを確認する。
次に、R君に廊下に行ってもらい、みんなに「R君を呼んで」と頼むと、みんなで「Rく~ん!」と大きな声を出す。
これが、「よびました」だということを確認する。
ここまでやって、2つの違いをわからせるのだ。
第7時 ねずみが一番の力持ち? 8月21日(金) |
カタカタの練習「キ~ケ」
ことわざフラッシュカード。
暗唱。
「おおきなかぶ」は音読から。
人物が登場する順番を確認し、
発問 みんながおじいさんだったら、この順番に呼びますか? |
と聞く。
子どもたちもその通りだという。力がある順番、大きい順番になっているという意見が出る。
そこで、「シーソー」(といっても模造紙を丸めたものだが)を登場させる。
このシーソーは、重さではなく、「力の強さ」で傾くことを確認し、大きな蕪とおじいさんを乗せた。
どちらに傾くか、手を横に広げさせ、シーソーのように傾けさせた。
当然、蕪の方に傾く。
発問 蕪は抜けませんでした。このことが、教科書には何と書いていますか? |
と聞く。(「やっぱりかぶはぬけません。」)
次に、おばあさんも乗せてみる。
同じように、手で表せさせ、教科書に何と書いているかを確認していく。
まご、いぬ、ねこも同じように進める。
そして、「ねずみ」の登場だ。
ねずみを乗せると傾きが変わる。
これが「やっとかぶはぬけました。」なのだと確認した。
手動のシーソーにもかかわらず、「わ~!」と子どもたちから歓声が上がる。
でも、ここからが本題なのだ。
発問 ねずみを乗せたらシーソーが動いたんだから、ねずみが一番力持ちなんだよね? |
と聞くと、半数近くの子が「そうだ!」と言う。
それに対して、「違う!おかしいよ!」と言う子も現れる。どちらなのか、討論のスタートだ。
最初は、ねずみ派が7名、違う派が14名でスタート。
ねずみ派は、ねずみのおかげで蕪が抜けたからねずみが一番力持ちだ、トムとジェリーではねずみが力持ちだなどの根拠を述べる。
違う派は、ねずみだけではなくみんなが力を合わせたから抜けた、小さいねずみが一番力持ちなのはおかしいなどの根拠を述べる。
討論は白熱していく。近くの子どうして色々と相談も始まる。
私も
発問 みんなで力を合わせたから抜けたということだと、 このお話は『みんなで力を合わせたらどんなに大変なことだってできる』というお話になります。 ねずみが一番力持ちということだと、 このお話は『誰にもできない大変なことでも、ヒーローが現れればやってくれる』というお話になります。 この、おおきなかぶのお話は、どちらのお話なんでしょうね。 |
と投げかける。(難しいが、「主題」というものを提示してみたのだ)
最終的には、ねずみ派が3人、違う派が19人となった。
他の人の意見を聞いて自分の考えを変えられるのも素晴らしいし、信念を貫いて自分の意見を変えないのも大好きだ。
どれが正解なのかということは、さほど重要ではない。文章に書いてあることを根拠に自分の考えを持ち、発表をしたり聞いたりしながら自分の考えを深めていくことが重要なのだ。
楽しい授業となった。
(向山洋一氏の実践の修正追試である。原実践では、てんびんを使用している。てんびんを用意できなかった…)
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