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【同時進行の向山型国語1年(教育出版)】

「けむりのきしゃ」

TOSSシグナス札幌向山型国語研究会  田上大輔
作成日:2009年6月 2日
更新日:2009年6月15日

  
 ○授業記録
   第1時へ 音読練習1
   第2時へ 音読練習2
   第3時へ 物語の設定を確認する
   第4時へ 「ながれぼし」は登場人物か?
   第5時へ おじいさんの位置
   第6時へ まきは燃えていたか?&流れ星の大きさは?
   第7時へ けむりはどのように出ていたのか?
   


【授業記録】  

 第1時 音読練習1  6月1日(月) 

 かんじスキル20番。一度読んでから書かせる。
 ことわざカード。

 金曜日に行った、50音チャレンジャーのノートをチェックする。

 教科書は、「けむりのきしゃ」に入る。
 初めての物語教材だ。

 追い読みを2回、教師と子どもの一文交代読み、男子と女子の一文交代読み、一斉読みで5回練習する。
 丸10個システムで○を塗らせる。

 最後に、五色名句百選かるた。

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 第2時 音読練習2  6月2日(火)

 かんじスキル22番。早く終わった子は色塗り。
 ことわざカード。

 「けむりのきしゃ」は、音読から。
 ちょっとトラブルがあり、それぞれ練習させておく。

 その後、一人一人一文ずつ読ませていく。
 自分がどこを読んでいいかわからなくなっている子多数。

 最後に視写。
 一字開け、一行開け、句読点などの書き忘れが多い。
 一つ一つ丁寧にやっていく必要があった。 


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 第3時 物語の設定を確認する 6月3日(水)

 かんじスキル23番。
 ことわざカード。
 
 「けむりのきしゃ」の音読練習をする。たけのこ読みなど。

発問 「まき」とは何ですか。

 「木のこと」という意見が出る。
 (窓の外を指さして)「じゃあ、あそこにある木もまきだな。」というと、「違う違う!」と反論が出る。
 「まき」とは何かということの確認をした。

発問 このお話は朝、昼、夜のいつのことですか。

 ノートに「いつ→」と答えを書かせ、確認する。
 全員が「夜」だという。
 理由を発表させる。
 「ながれぼし」という言葉を根拠にした子を褒めた。

発問  お話に出てくる人は誰ですか。

 難しい言葉で、「登場人物」ということを教え、ドラえもんで例示する。
 また、「ももたろう」を例に、人間ではなくて動物でも人間と同じように話をするものも入れていいこと、劇にするときに必要になるものを考えるといいことなどを説明した。
 
 「ひと→」と答えを書かせる。 
 ほとんどの子が「おじいさん」と答えた。
 「ながれぼし」という意見も出る。
 これを書いていた子は半数以下だった。
 「ながれぼし」は出てくる人に入れるかどうか。
 ここで終了。

 最後に、視写させる。
 「 」の書き方を指導。

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 第4時 「ながれぼし」は登場人物か? 6月4日(木)

 かんじスキル24番。
 ことわざカード。

 「けむりのきしゃ」の音読。たけのこ読みなど。

発問 「ながれぼし」は「ひと」ですか?

 意見を聞く。
 人だという子が16名。違うという子が4名。
 それぞれに発表させる。
 
 「おじいさん、ありがとう。」という文章を根拠に発言した子を褒める。
 
 「おじいさん、ありがとう。」って、おじいさんが言った言葉じゃないの?
ととぼけてみるが、あえなく論破された。

発問 先生、このおじいさんが誰のおじいさんか知ってるんです。
    実は、・・・「えんとつそうじ君」のおじさんです。
    教科書に「えんとつそうじのおじいさん」って書いてるでしょ。

と、またとぼけてみる。
 これは、不発に終わった…。

 5年前に担任した1年生に聞いた時は、以下のようなやり取りがあった。

(当時の学級通信より)
 そのあと,登場人物の「おじいさん」について詳しく聞いていった。
「先生ね,実はこのおじいさんが誰のおじいさんかっていうのを知っているんです。○○君のおじいさんでもありません。△△ちゃんのおじいさんでもありません。ナイショだよ。」
と言い,黒板に「えんとつそうじくん」と書いた。
 子ども達は,「いや~」といったが,
「だって証拠あるんだよ。教科書の29ページ見てごらんなさい。書いてあるじゃない。『えんとつそうじのおじいさん』って書いているでしょ。」
と,力説してみた。
 子ども達は興奮して口々に反論するので,手を挙げさせて発表させる。
 H君は,
「(教科書には)『えんとつそうじ』って書いてあるから『くん』って書いてないから。えんとつそうじくんのおじいさんならそう書いてあるはずだ」
 と発表した。(発表の時に,「あるいは~」なんて言葉を使ったのでビックリ!)

「でもね,名前を呼び捨てにすることもあるからね。やっぱりえんとつそうじっていう人なんじゃない?」 
 と聞き返すとK君が,
「えんとつそうじくんがいるならお話に出てくるけど,このお話に出てくる人はおじいさんだけだから違う」
と発表した。
「おじいさんがね,えんとつそうじをしてるの」
「えんとつそうじっているのは人の名前じゃなくて,えんとうそうじをしている人っていうこと」
「『えんとつ そうじ』って(えんとつとそうじの間に)間があいてないから,人の名前じゃない」
 などなど鋭い意見が出はじめる。
 ここでえんとつそうじくんのおじいさんなのかどうか挙手で確認すると,ほとんどの子が「ちがう」の方に手を挙げた。
 
「じゃあ,おじいさんのお仕事は何ですか?」
と聞くと,「えんとつそうじ!」との声。
 ノートの続きに「えんとつそうじ」と書かせた。

 そのあと,確認の意味で「大工のおじいさん」と板書(黒板に書くこと)し,「おじいさんの仕事は?」と聞くと「大工さん!」という答え。
 「先生の田上君」と板書し,「田上君の仕事は?」と聞くと,「先生!」,「サラリーマンの大輔」と板書し,「大輔の仕事は」と聞くと「サラリーマン!」と繰り返し,「まいちゃんのおじいさん」と板書した。
「おじいさんの仕事はまいちゃんだな!」
と聞くと,「ブーっ」「ちが~う」との返事。
 説明し,同じ「の」でも使い方によって意味が違うんだねと話して授業を終えた。

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 第5時 おじいさんの位置 6月5日(金)

 かんじスキル25番。
 ことわざフラッシュカード。

 「けむりのきしゃ」の音読。たけのこ読みなど。

 この日は、「おじいさんの位置」について授業した。
 「ながれぼしが落ちてきた時、おじいさんはどこにいましたか。」と尋ねたのだが、これが良くなかった。
 これは不確定なのである。
 そのあと、「拾った時」「おいた時」「まきを燃やしたとき」と聞いていったのだが、よくないまま続いていった。

 次のように授業したほうが良かったと反省。

発問 おじいさんはどこにいますか。

 えんとつの上、地面などいろいろ出るだろう。
 その中で、
 「~の時は~にいる。」→「おじいさんの位置は一定ではない」
ということに気付かせる方がいいだろう。

 以下、この部分を授業した5年前の学級通信。

(当時の学級通信より)
 この日の内容の読み取りは,「おじいさんの位置」について。
「『えんとつそうじのおじいさんがひろいました』の時,おじいさんはえんとつの上にいたのですか,地面の上にいたのですか?」
という問いをした。
 挙手で確認すると,全員が「えんとつの上」と答える。
 もちろん答えは地面の上だ。
 まさかの人数分布にあせる私。
 理由を聞くと,
「えんとつそうじをしているから」
「えんとつってかいてあるから」
「絵を見たらえんとつのてっぺんにいるから」
などが出ました。
 このページの教科書の挿絵は,えんとつの上にいるおじいさんが落ちてくるながれぼしを見ている絵である。
 これが混乱を招いたのであろう。
 
 そこで,「教科書が落ちました」と言い,教科書を床に置かせた。
 そして「1年1組のみなさんが拾いました」と言い,拾わせ,「拾う」ということの意味を確認した。

 黒板に煙突の絵を描き,
「みんなの意見はここにおじいさんがいるということだな」
と言い,煙突のてっぺんにおじいさんを描いた。
「拾いましただからながれぼしはここに落ちたんだな」
と言い,えんとつのてっぺんにながれぼしを描くと,みんな
「違う!」
と反論してくる。
「じゃあ,地面に落ちたの?」
と聞くと,そうだと言うではないか。
 私は,
「おじいさんはとっても手が長いんだな~。こうやって拾ったのか」
とおじいさんの手を伸ばして描いてみせた。
 笑いが起きる教室。「違う!」と大騒ぎする子ども達。
「でも,みんなは,おじいさんはえんとつの上にいるって言うんでしょ。で,教科書には拾うって書いているでしょ。だったらやっぱりおじいさんの手が長いんだよ。」
と言うと,口々に反論してくるではないか。(このあとしばし私の「手が長い」と子どもの「違う」というやり取りが続く。「じゃあ,足が長くて足で拾ったのか」と聞くとそれも違うという)


「拾う時にはおじいさんは煙突の上にいるんですか。地面の上にいるんですか」
と聞くと,全員
「地面の上!」
と答える。
「じゃあ,この場面ではおじいさんはえんとつの上にいるんですか。地面の上にいるんですか」
と問うとなぜか
「えんとつの上!」
とみんな自信満々に言うのだ…。
 また,田上VS子供の論争が続いた。(授業の様子を録音したものを聞くと,次第に両者とも熱くなってきている…大人気ない私)

 言葉の証拠がないので,あえて扱っていなかったのだが,最初の一文,
「ながれぼしがおちてきました」
について,
「このときおじいさんはどこにいたのか」
と子どもに聞いた。
 すると
「えんとつの上」
という返答。
 私は,
「言葉の証拠がないからはっきりとはわからないけど,絵を見るとたしかにえんとつの上にいるね」
ということを話しました。

 それでは「えんとつそうじのおじいさんがひろいました」の時はおじいさんはどこにいるのかと聞くと,ようやく「地面の上」という答えが。(ホッ)

 「全員はずれだな。いっつも先生だけ間違えているけど,今日は先生だけあっていたな~」と勝ち誇っておいた。

 そして,
「でも,おじいさんがえんとつの上にいるっていうことも考えられなくはないんだな。ながれぼしがどこに落ちたらおじいさんがえんとつの上にいるっていうことになるの?」
と聞くと,
「えんとつのてっぺん」
という答えが返ってきた。
 でも,あとを読めばこれではおかしいということがわかると話して次に進んだ。

 次に「おじいさんは、ながれぼしをえんとつのてっぺんにおきました。」の時,おじいさんはえんとつの上にいたのか,地面の上にいたのかを聞いた。
 こちらはすんなり進む。
 何人かが発表したが,教科書の文を離れ,絵や想像で発表する子もいたので,国語のお勉強は言葉をもとに考えるのが大切なんだという話をした。(もちろん,挿絵を見たり,想像したりすることも大切である。だが,物語を読み解いていく時には,やはり言葉を根拠にして考えていくことが大切だろうと思うのだ)

「先生も,おじいさんはえんとつの上にいると思います。おじいさんがえんとつの上にいたってわかる証拠の言葉があります。4文字です。どの言葉だと思いますか。指差してごらんなさい。」
と言うと,みんな「てっぺん」を指差していた。
 黒板の絵でてっぺんを確認し,
「自分の頭のてっぺんを触りなさい」
といって触らせた。


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 第6時 まきは燃えていたか?&流れ星の大きさは? 6月8日(月)

 かんじスキル26番。
 ことわざフラッシュカード。

 「けむりのきしゃ」の音読。たけのこ読みと、「間違い読み」。
 間違い読みは、私がわざと間違えて読み、その文を子どもが正しく読むというもの。
 盛り上がる。
 
 ながれぼしをそれに帰すためにまきを燃やしたことを確認し、

発問 まきは燃えていたのですか、燃えていなかったのですか。

と聞く。
 ほとんどの子が「燃えていなかった」と答える。
 「もやしはじめた」という言葉を根拠にしてのことだ。
 いくつか、「~はじめる」という文を例に出した。

 次に、

発問 この流れ星は、大きいですか、小さいですか。

と聞いた。
 小さいという子が多数。
 挿絵を根拠に考える子がほとんどだったので、言葉を根拠に考えさせる。
 何人かが、「ひろいました」「てっぺんにおきました」という部分に気づいた。

 またまた5年前の学級通信。
 当時はこの部分をこう授業した。


(当時の学級通信より)

 このころになると,どの子も音読がかなり上手になってきている。
 ○10個では足らずに,20個,30個,それ以上と読み込んでいる子も半数以上。
 授業始めの音読練習もスムーズに進む。

 この日は前回の続きで場面ごとのおじいさんの位置について聞いた。
「『おじいさんは、まきを もやしはじめました。』の時,おじいさんはえんとつの上にいたのですか,地面の上にいたのですか」
と問うと,全員が「地面の上」と答えた。
 私は,
「わざわざえんとつから降りてまきを燃やさなくても,もともとまきを燃やしていたのだからいいんじゃないか?」
と聞き,意見を言わせるが,あまり意見が出ないので,
「それまでまきは燃えていたのですか,燃えていなかったのですか」
と聞きなおした。
 すると,ほとんどの子が「燃えていなかった」と答える。
 子どもからは「もやしはじめた」というのと,次の「えんとつからけむりが出てきました」の部分は「出てきました」だからそれまでは燃えていなかったという意見が出てきた。
 その意見を取り上げ,「給食を食べはじめました」と言い,それまで給食を食べていたのか食べていなかったのかを聞くと,子ども達は「食べていなかった」と答える。
 「歩きはじめました」と言い,それまで歩いていたのか,歩いていなかったのかを聞くと,これも子ども達は「歩いていない」と答える。
 そして,「もやしはじめました」と言い,それまで燃やしていたのか,燃やしていなかったのかを聞くと,やっぱり子ども達は「燃えていない」と答えた。

 その後,おじいさんのいる場所について再度確認したのち,
「このながれぼしは大きいながれぼしですか,小さいながれぼしですか」
という問いをした。
 大きいと答えた子が8人,小さいと答えた子が20人である。
 大きい派に意見を聞くと,一般的な流れ星の大きさに根拠を持った意見がほとんどで,物語の中の文章を根拠に発表できないでいる。
 小さい派に意見を聞くと,こちらも物語の中の言葉を根拠にせずに発表する子が多い中,
「大きかったらえんとつのうえにおけない」
「(大きすぎると)けむりにのれない」
「おじいさんがひろえない」
という意見が出てきた。
 そこで,「おじいさんがひろえない」という意見を取り上げ,
「みんなが道に落ちていてこのくらいの大きさだったら拾えるというのはどれくらい?」
と手で表現させた。
 また,
「どのくらいの大きさだったら持ったままえんとつを上れますか」
と聞き,同様に手で表現させた。
 実際自分の身になって考えてみて,「ながれぼし」の大きさをどの子もイメージできたようだった。
「普通,流れ星っていうのは大きいのだけど,この物語に出てくる流れ星は大きくないことがわかりますね。」
といい,この日の授業を終えた。

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 第7時 けむりはどのように出ていたのか? 6月11日(木)

 かんじスキル28番。
 ことわざフラッシュカード。

 「けむりのきしゃ」の音読。たけのこ読み、間違い読みなど。

 ながれぼしを帰すためにまきを燃やして煙を出したことを確認し
「先生、煙がどのように出たのか考えてみました。」
と言って、

賛成か反対かを尋ねる。
 次に、と、
 また、では、
 そして、と、この意見を発表した子は、お勉強が苦手でいつもボーっとしている子である。「とってもレベルの高い意見だ!」「これを考えただけでも大したものです。すごい!」と思いっきりほめた。ほめられるとますます授業に対して積極的に参加できるようになっていった。
 

発問 (煙が下向きになっている絵を黒板に描き)
    先生の意見に賛成ですか、反対ですか。

 全員が反対だという。
 意見を言わせると、「それでは空に帰れない。」「その絵だと『のぼって』ではなく、『おりて』になる。」というような言葉に即した発表が続いた。
発問 (煙が横向きに出ている絵を描く)
    先生の意見に賛成ですか、反対ですか。

「真横だと『のぼって』いない。」
「『そらへ』じゃなくて『そらへそらへ』だからおかしい。」
というような意見が出てくる。 

発問 (煙が真上に出ている絵を描く)
   先生の意見に賛成ですか、反対ですか。

 「『けむりにのって』と書いているのに、真上だと乗れないで落ちてしまう。」
という意見が出てくる。

発問  (煙を短く描く)
   先生の意見に賛成ですか、反対ですか。

 「題が『けむりのきしゃ』なのに、煙が短いと『きしゃ』にならない。」
と題名にまで着目できる子が現れた。

発問  けむりはどのように出ていますか。

 ノートに煙がどのように出ているかの絵を描かせた。

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