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【同時進行の向山型国語4年(教育出版)】 2005年6月15日(水)

運動会の作文「書き出しの指導」

TOSSシグナス札幌向山型国語研究会  田上大輔

 
  1.  月曜日が振り替え休日。火曜日が運動会。休み無しでの本日の授業。
     まずは漢字スキルの左のページ。
     
  2.  運動会の作文について,向山先生の「書き出しの指導」を追試した。(『向国教え方教室』第4号からの師尾先生の論文より)
     
  3.  「運動会の作文を書きます。」
     「ただ,今日はいきなり原稿用紙に書くのではなくて,最初の一文だけノートに書きます。一文っていうのは,文が始まって『。』で終わるまでです。ノート最初の一文を書いて,できたら先生のところへ持ってきます。」
     
    すぐに何人かの子がノートを持ってきた。できた子にどんどん板書させていく。5分後に板書した子に発表させた。
     黒板に書かれたのは,

     1)うんどうかいがはじまりました。
     2)きのう,運動会がありました。
     3)うんどうかいがはじまったときどきどきした。
     4)今日はまちにまった運動会です。
     5)今日は運動会どきどきします。
     6)今日は運動会がありました。
     7)火曜日に運動会がありました。
     8)六月十四日に運動会がありました。
     9)六月十四日に,第三十三回緑小の運動会がありました。
    10)わたしは運動会で2位でした。


    である。
     
  4.  「前に書いてくれた人に点数をつけてみてください。10点満点で。」
     
    いつもの私の評定を聞いているからだろうか,意外と厳しい評定になった。
     ほとんどが3点~5点に。
     
  5.  「では,田上先生が何点とつけるか予想してみてください。」
     
    それぞれ5点前後を予想した子が多いようだった。
     「じゃあ,田上先生がこの中で一番高い点数をつけるのはどれだと思う?」
    と聞くと,(9)の書き出しだとほとんどの子が答えた。
     
  6.  「その前に,作文を比べます。」
     「ある小学校の小学生の作文とみんなの作文とをです。」
     本当であれば以前の自分の学級の作文から選べばよかったのだが,いいものがなかったので向山学級の作文を使った。

    「みんな。運動会が始まりました。」
    「他の学校。いくぞ。この声援がかかった時である。みんなの顔を一瞬見た。」
    「みんな。きのう,運動会がありました。
    「他の学校。いくぞーと緊張しながら,みんな元気な声を出して,踊りの準備をしようとしていた。」
    「みんな。うんどうかいがはじまったときどきどきした。
    「他の学校。あっ,私のチームの子が転んだ。」
    「みんな。今日はまちにまった運動会です。
    「他の学校。 赤は白より3点勝っている。あとは,高学年リレーで決まる。そう思ったとたん,急に緊張してきた。」
    「みんな。今日は運動会どきどきします。
    「他の学校。いてて,足がいてー。」
    「みんな。今日は運動会がありました。
    「他の学校。曲線を1.2倍のスピードで走るということができた。」
    「みんな。火曜日に運動会がありました。
    「他の学校。 いくぞー。おー。ザザザザーッと運動会のために演技をしている。」
    「みんな。六月十四日に運動会がありました。
    「他の学校。 やったー。俺が一位。次は6年生の百メートル走ですと放送があった。」
    「みんな。六月十四日に,第三十三回緑小の運動会がありました。
    「他の学校。 ドキドキドキ。ドキ。間違えたらどうしよう。ゲッ。もうすぐ時間。」

     向山学級の書き出しを読むと,ため息が出たり,「カッコイイ」という声があがったり,笑い声が出たりした。
     
  7.  「今聞いた感想を簡単にノートに書きなさい。」
     指名して聞いていく。
     「おもしろかった。」「すごい詳しく書いてあると思った。」「気持ちが書かれていた。」「すごいのもあるし,面白いのもあるのですごいなと思った。」「上手。」「自分が思ったことが書かれたいた。」などと言う感想が出された。
     
  8.  「先生も点数をつけていきますと,そうすると,みんなのはほとんど1点か2点となります。」
     「その中でもいい点数をつけるとすれば,A君とB君とCさん,しいて言えば,この3人がいいです。」

     実は,この3人。あまりお勉強が得意ではない子達である。特にA君は,このHPに何度か出てきている子である。この3人は,自分の思ったことや心のようすを書いていたので評価した。
     お勉強が得意ではない子であったので,原実践にはなかったが追加した。
     
  9.  「では,どんな書き出しにすればいいか。一番印象的だったこと,ドキドキした場面,ワクワクした場面,やったーと思った場面,チクショウと思った場面,アーっとがっかりした場面,というように,前やった『やい,とかげ』でいうと,クライマックスから書き始めるんですね。だらーっと書くんじゃなくて,自分の一番印象的だった場面から,書き始めると,それだけで作文がぐっと面白くなるんです。一番中心のところからズバリ書き始める。」
     「では,みなさん,ノートに,自分の運動会で一番ここが中心だ,ここが一番面白かった,楽しかった,うれしかった,泣いた,笑ったと言う場面を書きなさい。」

    と言って,運動会の種目名や場面を書かせた。
     
  10.  「では,それについて書き出していきます。」
     「普通に書くよりも,例えばかぎカッコの文からはじめる,誰かの話したことや思ったことから書き始める。バーンとか音からはじめる。その時の自分の気持ちから書き始めるとか,書き出しを工夫して,もう一度最初の一文を書きます。」

     また持ってこさせ,今度は10点満点で個別評定した。
     持ってきた子の文を読み上げ,点数をつけていく。まだ書けない子のヒントにするためである。
     どんな書き出しになったか。

    1)「ドーン。」ピストルの音がなった。ビックリした。 8点
    2)「痛っ。」ゴールの手前で転んだ。 9点
    3)「一斗,がんばれよー」という声が聞こえた。 9点
    4)「チクショー,くやしい。」 9点
    5)「いちについて,よーい,パン」 9点

     
     どの子も最初より格段に書き出しの文が良くなっていった。
     

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