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【同時進行の向山型国語6年(教育出版)】

「川とノリオ」

TOSSシグナス札幌向山型国語研究会  田上大輔
作成日:2007年8月30日
更新日:2007年9月21日

  
 ○授業記録
   第 1時へ 音読練習(1)
   第 2時へ 音読練習(2)
   第 3時へ 設定の確認
   第 4時へ 川は登場人物か?
   第 5時へ この物語は一言でいうとどんな話か
   第 6時へ 対比
   第 7時へ 物語を二つに分けるとしたらどこで分けられるか
   第 8時へ 物語の前半と後半を比べる
   第 9時へ ノリオが幸せだったのは前半か後半か?
   第10時へ クライマックスはどこか?
   第11時へ 主題の検討
   


【授業記録】  

 第1時 音読練習(1) ~ 8月27日(月) 

 章ごとに追い読みし,その後起立させ,その範囲を1人読みさせる。
 そのくり返し。
 最後まで終わらず。
 漢字スキル(上)がちょうどまとめの20問のところのため,多くの時間を使うことができない。

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 第2時 音読練習(2) ~ 8月29日(水)

 前回の音読練習の続き。
 終わったあと,班ごとに起立させ一文交代読み。

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 第3時 設定の確認(時,場所,登場人物) ~ 8月30日(木)

 音読練習のあと,設定の確認。

発問  この「川とノリオ」のお話はいつ頃の話ですか。

 いつ頃という聞き方が難しかったようだ。
 「戦争のとき」「戦争の後らへんから戦争が終わったころ」という意見が出る。
 念のため,「戦争中だけのことですか,それとも戦争が終わった後のことも書いていますか。」と確認。
 戦中から戦後にかけてのころである。
 

発問 このお話の場所はどこですか。

 田舎,町はずれの田舎,町はずれという意見が出る。

発問 何県と考えられますか?

 はっきりとは書いていない。
 しかし,8月6日の原爆のことを考えると「広島」ということが考えられる。
 もちろん,ノリオの母が他県から広島に行ったとも考えられるが自然ではない。
 
 おまけで,原爆が落とされたまちとして広島のことをいうときにはカタカナで「ヒロシマ」と表すことが多いということを教えた。
 

発問 登場人物はだれですか。

 思うものすべてを書かせる。
 書き終わった子から前に出て板書。
 ノリオ,ノリオの母ちゃん,ノリオの父ちゃん,ノリオのじいちゃん,タカオ,タカオの父ちゃん,近所の人,川という意見が出る。
 それぞれ,書いたかどうか確認する。

発問 川は登場人物ですか?

 登場人物だという子が17人,登場人物ではないという子が4人。
 次回,討論する。

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 第4時 川は登場人物か? ~ 8月31日(金)

 起立させ,お隣同士で交代読みをさせる。
 そのあと,前日の最後に聞いたことを再度聞く。

発問 川は登場人物ですか?

 登場人物だという子が多数。
 理由と一緒にノートに書かせる。
 書けた子のノートをチェック。取りあえず,全員が持ってきた。
 
 そのあと,討論。
 

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 第5時 この物語は一言でいうとどんなお話か ~ 9月3日(月)

 一人読みから。高速で。
 前回の討論の続きから。
 途切れたところで

発問 「おいでおいで~」と聞こえたのですが,「のよう」に聞こえたのですか。

発問 川は最初から最後までお話をしているのですか。

と問う。
 最終的に,人数が拮抗し,登場人物派が13名,登場人物ではない派は8名となった。
 
 続いて今日のメイン。

発問 このお話を一言で言うとどういうお話ですか。

 ノートに書かせ,できた子から板書させる。
 その後,キーワードに線を引きながら10点満点で評定。10点はだれもいない。
 再度,書きなおしをさせる。
 キーワードは「ノリオ」「戦争」「親を亡くす」だ。
 「戦争で親を亡くしたノリオの話」というようになる。
 
 最後,残り6分ほどで,川は登場人物かどうかについてのミニ評論文を書かせて終了。

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 第6時 対比されている表現は何か ~ 9月4日(火)

 この日は「対比」を扱う。

発問 このお話の中で対比されている言葉は何と何ですか。

 思いつくだけ全て書き出させた。
 できた子から板書。
 子ども達からは,「母ちゃんとじいちゃん」「川と穴倉」「電線とノリオの家のアヒルっ子」「タカオとノリオ」「じいちゃんとノリオ」「不思議な雲と母ちゃん」「川風と川」「父ちゃんと母ちゃん」「早春と冬」「父ちゃんと小さい箱」「夏と冬」「赤と青」「川とノリオ」が出た。
 それぞれどのように対比されているかを聞く。
 そして,

発問 一番大切な対比はどれですか。

と聞くと,「川とノリオ」だという。

発問 川とノリオの対比を「ベン図」にまとめなさい。

とノートにまとめさせた。
 黒板にもベン図を描いておき,できた子からその中に書き込ませていった。
 共通項(円の重なる部分)は,「町外れにいる(ある)」「動く」「青い」「遊ぶ」などが出た。
 そして,違っている部分を川とノリオ,それぞれでくくらせた。
 「自然と人」「動と止」「変わらないと変わる」などとなった。

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 第7時 物語を二つに分けるとしたらどこで分けられるか ~ 9月5日(水)

 いきなり,

発問 このお話を大きく二つに分けるとしたらどこで分けられますか。

と問う。冨山一美先生の追試である。(『評論文はだれでも書ける』明治図書)
 何ページの何行目かということとその理由をノートに書かせた。
 できた子から板書。
 子どもからは

  (1)P80L17 ~ ここから戦争の話になっている。
  (2)P81L16 ~ ここまでは母ちゃんがいて,ここからは母ちゃんがいない。
  (3)P82L 8 ~ ここから前はお母さんのいるくらしで,ここから後はお母さんのいないくらし。
  (4)P83L10 ~ ここからおぼんの夜が来る。
  (5)P85L10 ~ この前はノリオは小さくて,ここから先はちょっと大きくなる。
  (6)P86L 8 ~ 前半が戦争の時のノリオで,後半が戦争が終わった後のノリオ。
  (7)P85L12 ~ ここから母ちゃんが死亡したことが分かるから。

という意見が出た。
 どの分け方もいい。前話しのことに触れた子がいたので,若干説明する。

 どの分け方もいいが,田上先生が考えたのは別のところだと話し,もっとはっきりと分かれるところがあると言い

発問 田上先生がここだと思ったのはどこでしょうか。

と,教科書のページに指を置かせ,ノートを持ってこさせる。
 何人も何度も挑戦するが,正解者が出ない。
 残り時間2分でようやく正解者が出た。
 「なまり色の中の生きた2点」である。
 時間切れで次に持ち越しとなった。

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 第8時 物語の前半と後半を比べる ~ 9月6日(木)

 黒板の真ん中に「なまり色の中の生きた二点」と書き,左右を区切る線を入れる。

発問 「なまり色の中の生きた二点」の前はどんなことが書かれていたでしょうか。

と問う。
 「戦争」「死」だ。

発問 後の方はどんなことが書かれていたでしょうか。

と問う。
 「平和」「生」だ。
 ノートに,黒板と同じように書かせる。

発問 「戦争」「死」を表す情景にはどんなものがありますか。

と問う。いくつか例示してだ。
 時間的に全部書いていたら時間が無くなってしまうので,たくさんある中の3つだけノートに書かせた。
 「暗い停車場」「湿っぽく息苦しい穴倉」「B29」「悲しそうな役場のサイレン」などたくさんだされた。

発問 前半部分にはどんな色が出てきますか。

 出た中で,「戦争」「死」をイメージさせる色を確認する。黒,銀,白などだ。

発問 後半部分にはどんな色が出てきますか。

 同じように,出た中で,「平和」「生」をイメージさせる色を確認する。白,青だ。
 
 「このように,前半部分と後半部分で大きく分かれているのですが,大事な部分が抜けているんです」と言うと,「ノリオ」という声が上がる。
 場面だけではなく,ノリオも前半部分と後半部分で大きく違っているのだ。
 ここで時間切れ。

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 第9時 ノリオが幸せだったのは前半か後半か?
 
 前時に「なまり色の中の生きた二点」の前と後を比べた。
 では,ノリオの世界はどうなのか。
 前半は「金色の神様」であり,後半は「うす青」である。
 このことを,前時のノートに書きくわえた。
 
発問 ノリオが幸せだったのは,前半ですか,後半ですか?
 確認のために聞いたが,後半と答える子が結構いたので,討論させた。
 最終的に,前半ということに落ち着いた。
 子どものミニ評論文を2つ紹介する。
 
 ノリオにとって幸せなのは前だ。
 なぜなら,P80L15に「幸せな二才の神様」と書いてあるからだ。
 それに,前はまだ小さく遊んでいた。あとは戦争の平和の中にも両親を失った悲しみがある。
 それに,思い出すほどつらい。
 前は思い出すヒマもなかった。
 あとは平和だから,両親を思い出す。
 平和な分,悲しいってこともあると思う。
 だから,幸せなのは前だ。
 
 ノリオにとって幸せだったのは前です。
 理由は第一にP80L15に「幸せな」と書いてあるからです。
 第二に後の方のP87L11,12で「母ちゃん帰れ。」「母ちゃん帰れよう。」と母ちゃんが死んだことを悲しんでいるから。
 だから,ノリオにとって幸せだったのは前です。
 

 第10時 クライマックスはどこか? ~ 9月10日(月)

 クライマックスについて,簡単に説明し

発問 『川とノリオ』のクライマックスはどこですか?

 と問う。
 まずは,どの章にあるかで探させた。
 予想では,「母ちゃん帰れよう。」がある最後の場面と,母ちゃんが帰ってこなかった場面の2つに分かれるだろうと思っていたのだが,8つも意見が出てしまった。
 2つの意見で討論させるという目論見は早くも消え去った…。
 
 それぞれに理由を発表させる。
 私の解は「最後の場面」だ。
 ノリオが初めて自分の言葉を発した。悲しみに耐えていたものが一気に爆発した。
 子ども達からも,そのような意見が出て,最終的には,最後の場面という子が増えた。

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 第11時 主題の検討 ~ 9月11日(火)

 これまでの授業をもとに,主題を書かせた。
 苦戦する子が多い。
 私の授業の進め方に至らない点がたくさんあったからだろう。
 反省。
 子ども達から出た意見は次の通り。
 
 人は,休んでもいいから,悲しい時も前に進め。
 
 なくしてから気づく大切さ。
 
 戦争で父や母を亡くした子供もいる。
 
 人は,楽しいことがあれば,悲しいこともある。

 

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